-Sugar High-【紅一点:YG】 (ページ9)

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ユンギが私のデモを聴くこの瞬間が一番緊張する。ジッと真剣に聴き入る彼の隣でドキドキそわそわしながら大人しく待っていると、イヤホンを取りながらユンギが私の肩に寄り掛かってきた。これは終わったという合図だ。

「どう思った？俺の曲聴いて」

『え、それは私のセリフなんだけど‥』

頭にハテナを浮かべる私に「いいから」と有無を言わせないユンギ、私は初めて"Shadow"を聴いた時の感情を呼び起こす。

『率直に言うと聴くたび苦しい‥今でも胸がギュッとなるよ。でもこのかたちがユンギが音楽をやる上での答えなんだろうな、とも改めて思ったし‥何よりユンギは音楽において嘘をつかない人でしょ？だからやっぱりユンギの音楽は胸を打つんだよ。』

ユンギは音楽の上でとても正直な人、極端な綺麗事は言わない。私にとって、誤魔化したり嘘をついたりしない彼の音楽はお守りのような存在で‥‥だから私も、自分の歌は聴く人にとって祈りであることを常に願っている。

「‥やっぱり俺とAって似てると思うよ。俺もAのこの曲を聴いて改めてAの歌は、Aに歌われるために存在してるんだって感じた」

「だからこそ、A＝クム・Aは人間であって、誰の偶像でもない。皆が求めてるお前になんかならなくていいし、仮想的な闇を上から覗いたりなんかしなくていい。自分の中の闇の姿をしっかり見て、そしてちゃんとそこから生還する、そんなあるがままのAだからいいんだろ。」

私に反論の余地も与えず、一息で言い切ったユンギはどこか自分に言い聞かせているようでもある。"今、俺は怖い、俺の輝きを消してくれ"と歌う彼が少し前までの私と重なった。

『ユンギ、私も‥あるがままのユンギを愛してるんだよ。だから大丈夫。』

今の私には立ち止まりみんなを見失う方が怖い、それなら逃げずにここにいる。ずっとユンギの隣にいる。

いつも行き場のない苦しみを掬い上げてくれたり、和らげてくれたりする彼。そんなユンギを始め、皆のおかげで今の私があるんだよ。だから、どうか貴方のその心も穏やかであればと思っているの、それが少しでも伝わればいいな、と私に寄り掛かったままのユンギの手をギュッと握る。

「‥この曲、凄く良かった。もうこのままレコーディングしよう。」

ありがとな、と照れ臭そうに小さく笑って私の手を強く握り返したユンギに私も微笑み、『じゃあアレンジはお願いします。』と甘えることにした。

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