検索窓
今日:67 hit、昨日:684 hit、合計:108,940 hit

46 ページ46

「どういう事?」


一瞬の間を置いてユンギの低い声が言った。
どういう事も何もそのままの意味だ。


「…一緒に食べてくれても良かったのにってそのままの意味、ですけど」


「なんで?」


なんでって…

だって私はあの場に居られなかったから。
もしそうじゃないならユンギの好きな様に処分してくれて構わなかったから。
私が一緒に食べる事は諦めていたから。
あの瞬間に、元彼女が来た瞬間。

小さい溜息が聞こえた。
ユンギのものだ。


「Aが作った物を、俺があいつと食べるって?」


別におかしいことはない、何も。


「…そうですよ、ケーキ食べながら話しでもすればお互い好」


「それAに関係ある?」


おかしい事を言ってしまった、私が。
言わなくても良い事だったのに。
だからユンギの言葉を受けて、ズドンと重い何かが胸を貫通したような感覚がした。

関係ない、私には、何にも。

ユンギが誰とケーキを食べようと食べなかろうと、二人の縒りが戻ろうが戻らなかろうと。
誰が誰の事を好きだろうと。


「…関係ないですね」


何故だか小さく笑ってしまった。
自分が滑稽で呆れたからかもしれない。


「関係あるのはケーキの事くらいでした、とりあえず私も食べられないんで、ユンギさんが処分して下さい」


「処分って…折角作」


「また作ればいいだけですから、私そろそろ寝るんで切りますね」


ユンギが私の名前を呼んだのが微かに聞こえたけど、そのまま電話を切った。

もう話す事がないから、切った。

私はファンだから、ユンギが笑っていればいいと思うしユンギが美味しそうに何かを食べていればそれでいいと思う。
例え相手が誰だとしても、そこに私が居なくても。

"ファンだから"
これは至極便利な言葉だと初めて知った。

満月のオルゴールが滲んでいく。
泣いたら駄目だ、私はファンだから。
ファンなのに。
ファンでいたかった(・・・・・)のに。

泣いたらユンギを好きだと認める事になってしまうじゃないか。
ただ一人の人として好きだと。

意思とは裏腹にポタポタと部屋着の上に涙が落ちていく。
私は本当に滑稽で呆れた人間だったんだ。

47→←45



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (173 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
553人がお気に入り
設定タグ:BTS , 防弾少年団 , ユンギ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

かむ(プロフ) - サマンサさん» 彼には平然と煽ってもらいたくてこうなりました😂 (3月27日 19時) (レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)
サマンサ(プロフ) - 煽り上手なユンギ痺れます...! (3月27日 17時) (レス) @page43 id: 950212af01 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - 苺あめさん» こちらこそ目を通して頂きありがとうございますㅜㅜ少しのんびり更新ですがにはなってますが是非最後までお付き合いいただけたら嬉しいです! (3月26日 12時) (レス) id: e587d3099d (このIDを非表示/違反報告)
苺あめ(プロフ) - かむさん、ユンギのお話をありがとうございます。ユンギと隣の彼女の関係が出会ってから急激に近くなって、でも元カノも出てきたりして、この先の展開が楽しみで仕方ありません。毎回、更新を楽しみにしています。これからも頑張って下さい。 (3月26日 10時) (レス) @page36 id: 3780d68ff4 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - にゃんさん» わーありがとうございます🥹そしてユンギペンさま…ご期待に添えられるかわかりませんが、良ければ最後までお付き合い頂けたら嬉しいです🥹 (3月21日 9時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:かむ | 作成日時:2024年3月20日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。