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ドユン。
同期で、頼れるお兄さんで、親友の様な戦友の様な。
恋愛感情は_____
「、ごめん、ドユニの事は…」
手を引いた。
気持ち悪いとか軽蔑とかそんな事はない。
ただ"ごめん"という気持ちだけ。
ドユンの震える手から手を抜くのは良心が痛んだけれど、良心で自分の気持ちに嘘はつけないし、真剣なドユンにそんな嘘もつきたくない。
スコーンをお皿に置いてコーヒーをまた飲んだのは気まずいからとかじゃなくて口の中のスコーンを少し流し込みたかったから。
「俺の事を好きじゃないなら、他に誰かいるの?」
冷たいコーヒーが完全に胃の中に流れ込むよりドユンのその言葉が先だった。
迷った、でも。
「バカだと思うかもしれないけど…ユンギさんの事が好き、で…」
自分のこの気持ちを口にしたは初めてだ。
目の前にユンギがいるわけでもないのに酷く緊張して、太腿の上で両手が落ち着かなくて自分の指同士を擦り合わせている。
ドユンがコーヒーを一口飲んだ音が聞こえた。
その後で'いや'と。
「何となくそんな気がしてたし、別に好きな気持ちをバカだなんて思わないよ」
ドユンらしい言葉が返ってきて私の両手のそれが止む。
それから何の音もしない時間が数秒流れて私がまたスコーンに手を伸ばした時、ドユンがソファから立ち上がった。
「あースッキリした!別に言いたかっただけだから、もう帰るわ」
「、えっ、だってスコーン作ったのに」
「じゃあ折角だから持って帰って食べるよ」
重々しい空気だったのにドユンの清々しい表情といったら。
嘘とは思えない晴れ晴れとしたものだった。
だからドユンの言う通りに私の分だけスコーンを残して、後は全部持ち帰れる様に紙袋に入れた。
「明日、また会っても普通に」
靴を履いたドユンがそう言ったが、そんなの当然で。
「当たり前じゃん、ありがと」
ドユンの肩を強めに叩いた。
アイドルを本気で好きになるような私なんかを好きになってくれて。
'じゃ'と言ったドユンがドアを開けた。
「……え」
私もドユンもまさかドアを開けたすぐそこに、誰かが立っているなんて思っていなかった。
「ユンギさん…」
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かむ(プロフ) - サマンサさん» 彼には平然と煽ってもらいたくてこうなりました😂 (3月27日 19時) (レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)
サマンサ(プロフ) - 煽り上手なユンギ痺れます...! (3月27日 17時) (レス) @page43 id: 950212af01 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - 苺あめさん» こちらこそ目を通して頂きありがとうございますㅜㅜ少しのんびり更新ですがにはなってますが是非最後までお付き合いいただけたら嬉しいです! (3月26日 12時) (レス) id: e587d3099d (このIDを非表示/違反報告)
苺あめ(プロフ) - かむさん、ユンギのお話をありがとうございます。ユンギと隣の彼女の関係が出会ってから急激に近くなって、でも元カノも出てきたりして、この先の展開が楽しみで仕方ありません。毎回、更新を楽しみにしています。これからも頑張って下さい。 (3月26日 10時) (レス) @page36 id: 3780d68ff4 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - にゃんさん» わーありがとうございます🥹そしてユンギペンさま…ご期待に添えられるかわかりませんが、良ければ最後までお付き合い頂けたら嬉しいです🥹 (3月21日 9時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月20日 20時