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まさか隣人と早々に顔を合わせる事になるとは、異例だ。
嫌だなんて事は思わないけれど、逆に"良かったのだろうか"なんて事は思った。
でもユンギはチキンをくれたし笑ってたから、それが答えなんだと思う事にした。
私も何か少しでも返すべきか否かを考えていたのだけれど、それっきりユンギと顔を合わせる事はなくて。
ただたまに物音がした事で、勝手に生存確認だけはしていた。
まぁ隣人なんて普通はこんなもん、と思い始めた頃、私の引越し祝いの日がやって来た。
時間はあっという間に過ぎるものだ。
集まった同期は六人。
男女比3:3という良い比率だ。
別段、その同期のその中で惚れた腫れたなどという話しはないが、それは"今"の話しだけである。
からして、もしかしたらこの引っ越し祝いの席でそういう気持ちを抱く人もいる可能性はゼロとは言えまい。
「あれ?なんでわざわざ買って来たの?」
同期を三人引き連れて訪れたドユンの手にチキンの袋が一袋。
後から注文すれば済む事を。
感嘆しながらリビングに進む同期達を他所に、ドユンが'ああ'と。
「今日オープンってバス停降りてすぐの所。オープン割引で安かったし美味しそうだったから先にと思って」
「そうだったんだ、全然気付かなかった」
受け取った袋に印字されているチキンの店の名前は見た事がないもので、確かに美味しそうな匂いがした。
今日オープン…そうだ。
「これ私がお金払う」
ドユンは勿論要らないって言ったのだけれど、それを聞かずにキッチンへ向かった。
半分くらいの量を皿に乗せて、もう半分はそのまま箱に入れたまま。
「全部食べられると思うけど」
不思議そうなドユンがそれを覗き込んで言ったけれど、六人なら食べられるだろう勿論。
でもそうじゃなくて。
「ちょっと隣行ってくる」
依然として不思議そうなドユンを残して、チキンの入った袋を持って部屋を出る。
そしてすぐ隣のドアへ。
居るかどうかなんて分からないけれど、居たらあげればいいし居なければ六人で食べれば済む事だ。
インターホンを押して数秒待つ。
居ないかも…?
相変わらず静かな通路には私以外の人影がない。
居ない、か。
諦めて踵を返すと袋が揺れてガサガサという音だけがそこに響いた後で、カチャンとドアが開く音。
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かむ(プロフ) - サマンサさん» 彼には平然と煽ってもらいたくてこうなりました😂 (3月27日 19時) (レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)
サマンサ(プロフ) - 煽り上手なユンギ痺れます...! (3月27日 17時) (レス) @page43 id: 950212af01 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - 苺あめさん» こちらこそ目を通して頂きありがとうございますㅜㅜ少しのんびり更新ですがにはなってますが是非最後までお付き合いいただけたら嬉しいです! (3月26日 12時) (レス) id: e587d3099d (このIDを非表示/違反報告)
苺あめ(プロフ) - かむさん、ユンギのお話をありがとうございます。ユンギと隣の彼女の関係が出会ってから急激に近くなって、でも元カノも出てきたりして、この先の展開が楽しみで仕方ありません。毎回、更新を楽しみにしています。これからも頑張って下さい。 (3月26日 10時) (レス) @page36 id: 3780d68ff4 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - にゃんさん» わーありがとうございます🥹そしてユンギペンさま…ご期待に添えられるかわかりませんが、良ければ最後までお付き合い頂けたら嬉しいです🥹 (3月21日 9時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月20日 20時