79 ページ29
私が素を見せてるのは家が隣っていう境遇が招いた意図しないものだったけれど、よく考えれば結果オーライだ。
"すっぴん見られたらどうしよう"なんて心配をする必要がなかったのだから。
この、ユンギ相手に。
「ユンギさんちょっと」
スタスタと平然と歩くユンギの手を強く引いて呼び止めた。
「もう着きます?もういる所行きます?」
「そりゃそうでしょ、何?深呼吸でもする?」
'します'と言って空いてる方の手を胸に当てて目を瞑って、ゆっくりと呼吸を三回。
大丈夫、大丈夫、大丈…
あと一文字だったのに、急に目を開ける事になったのは唇に知ってる感触があったからだ。
目を開けてユンギを見ると、左の口角だけを小さく上げていて
「
だって。
いやむしろ、こんな場所でキスされると思ってなかった分、別な意味で緊張して心拍数が上がった。
でもユンギは得意げで満足げな表情のまま、また私の手を引いてメンバーが待つであろう部屋のドアに手を掛けた。
「シュガヒョン来た」
誰がそう言ったのかも分からないが、誰かが言ったのは確かだ。
"안녕하세요"とバラバラではあるが頭を下げるメンバーに釣られて、私も同じ様に返す。
それだけしか出来ない人形のように。
「テヒョンイ、ナムジュニ、ジニヒョン、ジョングギの4人だって分かる?」
ユンギが一人ずつ指差してくれたけれど正直よく分からない。
いや、分かるけど分からない。
この状況にまだ軽くパニックで。
それでも何とか'分かります'と声に出して言えたから良かったと思う。
その後で目が合ったテヒョンが少し照れ臭そうな微笑みを浮かべて
「シュガヒョンの彼女に会えるなんて嬉しいです」
なんて言うから眩し過ぎて思わず目を細めてしまった。
隣のユンギから'何やってんの'なんて冷めた感じで言われたけど、しょうがない。
いや、眩しがってる場合じゃなかった。
ずっと繋いだままだったユンギの手を離してバッグから色紙を取り出した。
そもそも色紙を買う事も人生で初めてなのに、それを渡す相手がこの人達だなんて。
誰が予想出来たか。
488人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かむ(プロフ) - にゃんさん» 最後まで読んで頂きありがとうございます🥹しかも新しいのまで!何回でも読み返して下さい!笑 (4月2日 15時) (レス) id: 5dfe42fd36 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - ユンギさんのお話最高でした!!最高すぎるのでもう一度読み返しに行ってきます!!(今更新中のお話もとても楽しく読んでます!私の日々の楽しみです!) (4月2日 12時) (レス) id: b48cf01a74 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - u512さん» 私のペンになんて嬉し過ぎます🥲✨私もいつも終わらせたいような終わらせたくないような気持ちで書いてます!(笑)最後まで読んで頂きありがとうございます🥹 (4月1日 10時) (レス) id: fb7c0dcb39 (このIDを非表示/違反報告)
u512(プロフ) - やはり最高です‼️‼️かむさんペンになってしまいました‼️一生終わらないで欲しいと毎度思ってます‼️最強に拗らせられました‼️‼️これからも楽しみにしています🥹✨ (4月1日 9時) (レス) @page34 id: 37a21340a3 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - 苺あめさん» 見てきたかのようななんて嬉しいです🥹こちらこそ読み続けて頂いてありがとうございます! (3月31日 20時) (レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かむ | 作成日時:2024年3月27日 23時