･ ページ12
ㅤㅤ
蓮｢....これかう、？ピッする....？｣
｢買わないな、まだピッしないよ｣
やっぱり予想は的中、入店して5分くらい
しか経ってないのに蓮の買う買う攻撃が
発動し始めた。多分それは向かいにある
おもちゃ屋さんが気になっているから、
参考書見たいんだけどな...表紙だけじゃ
決めかねる。せめて目次とさわりの所
だけでも見られたら そう思って。
そういえばさっきリュックの中にラムネが
入っていたような。気休め程度だけど
それ食べさせちゃおうかな、3分でも
いいから時間が欲しくって。
｢蓮君、そういえばさ....｣
俺の真横で引っ付いている蓮をちらりと
見れば ワンワンを両手でギュッと
抱きしめて顔を埋めてしまっている。
お腹もいっぱいだし眠くなっちゃったか？
｢疲れちゃった？....ん、蓮？｣
しゃがんで目線を合わせてみればぷるりと
震えた蓮の小さな身体。顔が見えないから
そっとワンワンをずらしてみれば、目には
大粒の涙が溜まっていて今にも溢れそう。
｢どうしたの？えーんのお顔に
なっちゃったね。亮ちゃんに教えて？｣
声を掛ければぽろりと涙が落ちてしまって、
苦しそうな顔をしながら肩がひくひくと
上下する。どこかぶつけたりしたかな、
それとも寝ぐずりか そう思いながら様子を
見ていれば ぐりゅと小さく聞こえたお腹の音。
あれ、もしかして....
｢蓮、お腹痛い？｣
蓮｢ふ....ぇっ....涙｣
｢そっかそっか、ごめんね亮ちゃん
気付かなくて。おトイレ行こっか？｣
小さな声で聞いてみれば涙を溢しながら
こくんと頷いた。まだ3歳、自分の身体の
不調なんて上手に伝えられないよね。
食べさせすぎちゃったかな、そっと
抱き上げれば 何となくお腹を壊して
しまっているような匂いがしてきて。
｢うーん出来る？すっきりしちゃおうね｣
オムツもあてているし出ちゃっても
大丈夫だから、抱いたまま腰の辺りを
擦れば支えた腕に感じる温かさ。
蓮｢っ、ん....んんっ、ぅ、涙｣
ワンワンと俺に掴まりながら身体に
力を込める蓮、トイレまでの道のりが
少し長く感じてしまう。
ㅤㅤ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2159人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：杰
| 作成日時：2024年3月30日 22時
