キム社長と秘書３

信頼 ページ15

『おつかれさまでした』




パーティーが終わり、時間も遅くなった。






NJ「遅くなったな。明日休みだからいいが」



『そうですね』






なんとなく浮かない表情に感じるのは気のせいか。






NJ「なにかあったか」


『いえ？』




NJ「ならいいが」






引き抜きという話 噂話なら確認するのも変だろうが


気にならないといえば嘘になる。




彼女以外の秘書なら 遠慮なく聞いているだろうな


辞めたいなら辞めればいい




これまではそう思ってきた






でも彼女には聞けない





仕事のスキルもこれだけの人は見つからないだろうし


今では全てを任せられるほどに俺の仕事を熟知してる。




そして何より 俺にとって特別な存在であることが


確かめるのを躊躇わせている。






『いろんな会社の方が集まると、いろんなタイプの方がいて
　
　考えさせられますね』





どういう意味だろうか




『ふーなんだか今日は疲れました』



NJ「なにかあれば話してくれ」



『なにか？‥はい』



NJ「嘘は嫌いだ。悩みや心配事があれば聞く」







『そうですね‥ありがとうございます。でも、大丈夫です

　社長には話してます』





そうか


そうなのか？






NJ「ミン社長とは、前から親しいのか」



『そうですね、お世話になりました』




NJ「どんな人だった？」


　

『仕事のできる方でした。ストイックでクールで

　でも熱い人でしたね。たくさん気にかけてもらいました』






すらすら出てくる褒め言葉に、本当に親しかったのだと

伝わってくる気がした。






NJ「また仕事ができて嬉しい‥か」



『そうですね。とても嬉しいです

　ユンギさんのことは尊敬してるので』




NJ「そうなんだな‥‥」




『信頼できる方ですよ』




信頼‥



俺に黙ってあなたを引き抜こうとしていたら

そんなことは言わないか？





『着きましたよ。おつかれさまでした』




いつもの秘書の顔








前の会社を辞める時、社長には直前まで言わなかったはず


引き継ぎなどは準備して、辞める手はずは済ませてやめたと言っていた




俺にもまさか黙って辞めるつもりはないだろうか

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